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voice7 告知

8月22日放送のNHKスペシャル「難病告知 患者と医師1年の対話」をご覧になった方は、どんな感想を持たれたでしょうか?(番組内容や再放送日程はNHKのホームページをご覧下さい。)
 病名告知は、大変デリケートな問題です。「これが正解」と言えるものは無く、医師は患者の反応を見ながら、ケースバイケースの対応が求められるでしょう。
 以前、告知に関するアンケート調査を受けたり、ある医師から私の意見を尋ねられたことがありました。その時示した意見は、現在も変わらず次の内容です。

  1.  病名告知は、早い時期に行うべきである。ALSが進行性の病気で有るが故に、「残された機能と時間を如何にして有効に使うか?」を患者に考えてもらう時期は早い方がいい。
  2.  病名告知には、患者と家族が同席して行うべきである。(精神的支えで、患者と家族が医師の説明を動揺せず理解する効果と、自殺を防ぐ効果を期待する意味で。)
  3.  ALSという病気の説明においては、「現在この病気を直す治療方法は無い」と伝えるだけでは無く、「発症原因究明や治療薬の開発として様々な研究がされている。例えば、○○や△△、と告知時点で知られている研究(2004/8現在なら「ゲノム解析」や東大グループの「AMPA受容体」の話等?)を上げて、近い将来治療方法が見つかるかも知れないこと」も伝えるべきである。

     患者に過大な期待を持たせることは避けないといけないが、絶望感しか抱かせない説明はすべきでない。今後の(対処療法的な)治療方針(気管切開や呼吸器装着等を「する・しない」)を、患者自身に納得して選択してもらう為にも、良い情報も悪い情報も正しく提示することが不可欠である。
  4.  段階的に療養形態の説明をすべきである。(入院療養、在宅療養の実態)

 実は、全国的に見れば、上記4項目目の療養形態の説明を受けても、現実にはALS患者を受け入れしてくれる病院等施設が限られており、患者側が選択できる状況には無い(都道府県レベルの)地域も多いと聞きます。・・・

受け入れてくれる病院が無いから在宅療養しか選べない。
     ↓
在宅療養は、呼吸器装着して痰の吸引が必要になると、家族にとって介護負担が大きい。
     ↓
だから呼吸器を付けない(生きない)を選択する患者が後を絶たない。

 NHKスペシャルの番組中ナレーションに有った「ALS患者の内、呼吸器装着を選択した患者は1/3」をただ聞き流して欲しくない現状があるのです。

 「他の病気や事故で、四肢麻痺や呼吸器管理が必要な患者の入院は受け入れているのに、何故ALS患者を受け入れる病院が少ないのか?」という疑問を持ちませんか?
 聞こえてくる回答の一つは医療制度上3ヶ月以上の入院になると病院に支払われる診療報酬費が大きく減る為、長期療養が必要なALS患者は受け入れしたくないというもの。・・・「納得はしないが、ナルホドそういうものか」

 他の理由として伝え聞いた噂では、ALSが知能と五感に障害を受けない病気であることが、病院に敬遠される要因らしい。つまり、五感が生きているから、痛い時はナースコールし、苦しい時もナースコールする。それらの対応に不満があれば文句を言う。『声は出せなくても五月蠅い患者』と言うわけである。にわかには信じがたい噂ではありますが・・・

 仮に、この噂の何割かが真実であったなら(五月蠅い患者を敬遠しているなら)中長期的に見て、その病院の看護レベルは低下するでしょう。逆に、いやいやでも五月蠅い患者を受け入れている病院は、四肢麻痺患者へのケアを教えてくれるコーチを手に入れた訳ですから、看護レベルは上がるでしょう。と都合良く考えるのは私だけ?
「最近のALS患者は、おとなしくなって文句を言う患者が少ないから、看護師の育成がね~」などと嘆く古株の指導担当看護師はいませんかー(叫)

 私の住む香川県では、幸いな事に国立病院機構高松東病院が、ALS患者をほぼ一手に引き受けてくれていたので、少なくとも入院療養か在宅療養かの選択は出来ました。ありがいことです。
 一方、香川県下のALS患者は国立病院機構高松東病院にお任せという状況になっていることの問題もあります。厳しく言えば弊害とも言えるでしょう。

 それは、在宅療養の環境整備が遅れてしまったことと、他の病院に入院希望があっても受け入れしてくれない状況(上記と同じ状況)になってしまっていることです。
 今年4月から国立病院機構高松東病院は難病拠点病院としての役割を担った訳ですから、行政や協力病院との連携にリーダーシップを発揮し、これらの弊害を改善させてくれることを期待したいものです。

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